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「たーくーん!!」
「お、久しぶりじゃん。あおいがうち来るなんて」
「うん、ちょっとね」
「どしたん?」
「はい、これ!」
私はたーくんの両手いっぱいにキットカットを渡した。
「うぉ!なに、これ?」
「たーくん受験生だから、“きっと勝つ”ってことで」
これならバレンタインじゃなくてもたーくんの応援ができると思った。
今思うとすごく恥ずかしいけど、これが13歳の精一杯の気持ちの伝え方だった。
「ありがとな、あおい」
たーくんがぐしゃぐしゃと頭を撫でる。
久しぶりの温かさだった。
右手の小指が真っ黒で、受験勉強を頑張ってることがよくわかった。
「あ、ちょっと待って」
そう言うとたーくんは部屋に戻って行ってしまった。
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