かざぐるま

12/15
前へ
/17ページ
次へ
「たーくーん!!」 「お、久しぶりじゃん。あおいがうち来るなんて」 「うん、ちょっとね」 「どしたん?」 「はい、これ!」 私はたーくんの両手いっぱいにキットカットを渡した。 「うぉ!なに、これ?」 「たーくん受験生だから、“きっと勝つ”ってことで」 これならバレンタインじゃなくてもたーくんの応援ができると思った。 今思うとすごく恥ずかしいけど、これが13歳の精一杯の気持ちの伝え方だった。 「ありがとな、あおい」 たーくんがぐしゃぐしゃと頭を撫でる。 久しぶりの温かさだった。 右手の小指が真っ黒で、受験勉強を頑張ってることがよくわかった。 「あ、ちょっと待って」 そう言うとたーくんは部屋に戻って行ってしまった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加