かざぐるま

「あぁ、今日卒業式だったんだって。４月から由梨の後輩になんぞー」
「へー！おめでとう！あおいちゃんのことはよく貴樹から聞いてるよー、“妹みたいでほっとけない”って。私、バスケ部でマネージャーやってるの。もし良かったら、あおいちゃんもマネージャーやってみない？」

バスケ部って、たーくんと一緒・・・

「おい由梨、勧誘早すぎー！あおいごめんな、こいつバスケ部の鬼マネージャーなんだわ」
「その鬼と付き合ってるのはどこの誰ですかぁ～？」
「お前なぁ～・・・」

たーくんの彼女・・・？

「ほんとごめんな？まぁうっさいけどいい奴だから。今度入学祝いに何か買ってやるよ」
「あ、じゃあ私が選んであげるー！貴樹の趣味アテになんないもん」
由梨さんがけらけら笑う。

「・・・いい、いらない」
「あおい？」
「私、もう帰るね、お邪魔しちゃ悪いし」

たーくんの引き留める声も無視して私は走った。
あんな照れくさそうで、幸せそうなたーくんの顔見るの初めて・・・

自分が幸せだからって、急にいい人にならないで・・・

あんなの、いつものたーくんじゃない・・・