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周瑜の足音だけが、不気味に室内に響いていく。
「……」
孝彦は周瑜を真っ直ぐ見つめ、黙り続けている。
「孝彦?おい。」
祥太は、周瑜が近づくたびに、孝彦の肩を叩いた。
「……」
周瑜も無言で孝彦達に近づいてくる。
「周瑜よ。」
突然、孝彦が周瑜に呼び掛けた。
「なんですか?孝彦さん。」
周瑜は、伯符ではなく、孝彦と呼んだ。もはや、自分達を孫策と曹丕と思っていないらしい。
「俺達を殺してどうする?」
「別に。ただ、本物と入れ替わっていた…とでも、言いますよ。」
「皆を納得させられるのか?」
「なら、曹丕が伯符を殺害したから、私が仇を討った。これで納得するでしょう。」
孝彦の質問に、表情を変えず丁寧に答えていく。
「なら、逆に問いましょう。貴殿方はこの時代に生きて、何をなされる?」
周瑜が訪ねてきた。
「本来なら、俺達の戦いが終われば現代に帰れるはずだった。しかし、帰れないのであれば、俺は孫策伯符として、周瑜と天下を目指す。」
「私と天下を?」
周瑜が剣を構えた。
「面白い冗談ですね。」
周瑜は笑いながら剣を高く上げた。
「孝彦!」
祥太が叫んだ瞬間に、周瑜の剣が孝彦に向かっていった。
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