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「ごめんなさい、でも……私も和樹君の事、大好きだから」
その時だった
急に自分の身体が意志に反して後方に向かっていく
それは何かで引っ張られるような感覚でありゆっくりと朋華から離れていくのが分かった。
「朋華っ朋華っ!!、まだ伝えたい事があるんだっ、いっぱい…いっぱい、それに……もう君と別れたくないっ!!」
「和樹君……」
ありったけの声を出し朋華に聞こえるように想いを吐き出す和樹
朋華も一度は和樹に向かって手を伸ばそうとしたが一瞬、悲しい表情を浮かべ差し出しかけた手を納め和樹に向き直った。
悲しい表情ではなく
嬉しそうな柔らかな微笑みでーー。
「私は、もう少しだけ待ってるから、さようなら…………大好きな和樹君」
その言葉を聞くと先程とは比べものにならない程のスピードで身体が引っ張らていく朋華の姿は一気に小さくなっていき彼女の姿は漆黒の中に消えていった…………。
そして
和樹にしても意識が途切れ途切れになりそうになりながらも最後の力を振り絞り彼女の名を叫んだ。
「朋華あぁああぁぁっっっ!!!!」
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