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「父さんな、年甲斐もなく叫んじゃってな……『朋華』って、もう二度と逢えないって分かってたから」
「………………」
「お母さん、彩乃と悠二の事も知ってたよ、彩乃は美人になってくれたって」
「そんな事、でも……お父さんの友達の美和さんと夕香さんにはお母さんにそっくりだって言われた…」
「あぁ、朋華の高校生の時にそっくりだ、それに……」
「あっ」
「頭を撫でられて落ち着くのも朋華と一緒だ」
母親と同じ癖を持っている事を伝えたのは初めてであり彩乃は何やら複雑な表情で座っていた
だが、それも嫌いとかではなくむしろ覚えていない母親の感覚がむず痒いだけのようであった。
「その時、父さん……お母さんに一緒に行こうって言ったんだ……」
「えっ……」
父親からのまさかの発言に彩乃は和んでいた空気を一瞬で砕かれた
だが和樹は何も悪いとは思ってもいないような顔をして少し笑いながら話しを続けた。
「でも朋華に叱られた」
「えっ」
「悠二と彩乃がいる、公ちゃんや洋平、美和に夕香……想っている人の為にってさ」
「……………」
「それに今、朋華の側に行っても絶対に許してもらえないから……それに……」
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