……それは突然に……

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和樹が倒れた後も悠二はピッチに立っていた 今 自分が離れる訳にはいかない それを分かっていたから悠二はユニフォームを纏った。 父親は必ず助かると信じていたから。 後半も皇英高校の激しい攻撃に晒されながらも守りを固めていた悠二のチーム そして 試合の終盤、痺れを切らした相手が前がかりになった瞬間、悠二は後方からの長いパスボールを受け取ると前半開始早々に仕掛けた位置と同じ場所から攻めいった。 相手にしてみれば予想外の攻撃で守りを固める時間がなかった そして悠二は相手選手を華麗にかわして敵陣深くに切り込む それと同時に観客用応援席からは声援が注がれる 悠二はそれを自らの左足に載せて振り抜いた その想いを詰め込んだボールは渇いた音を立ててゴールネットを揺らした 美しい弾道を描いたボールは相手のゴールキーパーに全く触れさせなかった。
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