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「そうか、悠二は全国大会に行くのか……」
感慨深そうに和樹は息子、悠二の勝利を考えた
朋華もたくましくなった悠二を見たかったのだろうとーー。
その時
病室のドアを押し開け、右足に包帯を巻いて松葉杖を抱えているジャージ姿の青年が入ってきた
その姿に和樹は衝撃を受けたが当の本人は軽く手を挙げて入ってきた。
「あっ、親父起きたんだ」
「ちょっと兄さんっお父さん危なかったんだよっ!!」
余りの軽い態度に彩乃が怒鳴り声を上げた
だが、それでも悠二は父親の顔色を見ると大分良くなった事を察したようで彩乃に気付かれないように少し安堵の表情を浮かべていた。
「悠二、足は大丈夫なのか……?」
「あぁ、ちょっと痛むけど大丈夫」
「それより兄さんっ!!」
完全に茅の外であった彩乃が更に怒りの声を上げ、さすがの悠二も悪かったと謝り、空いていたパイプイスに腰を下ろした。
「親父、話しがあるんだけど……」
「何だ?」
急に真面目な表情を浮かべた悠二
そして目で二人で話したいと訴えてきており和樹は頷いた。
「彩乃、ちょっと喉が渇いたからお茶でも頼む」
「分かった、すぐに買ってくるね」
すぐさま収納に閉まっておいたハンドバッグを取り出すとパタパタと彩乃は部屋から出ていった。
「悠二、話しって何だ?」
「本当、親父がこんな時に話す事じゃないけど……話しておかないといけないから……」
普段見せない悠二の真剣な表情に和樹も自然と身体が起きた。
そして
悠二の切り出した言葉に和樹は驚きを隠せなかった……。
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