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「いや~、生き返るねぇ~この一杯っ」
一息付くと同じくしてテーブルには新たなジョッキが二つ三つと並べられていった
それを確認する二人の男はジョッキを掴むと和樹の方に向けて差し出してきた。
「今日……この日を関口さんに」
「あぁ、和樹と関口さんに……」
悲しみの色を湛えたその瞳で和樹を見据える二人
和樹もゆっくりと一息付くとスッとジョッキを出した。
「朋華に……」
カランと無機質な音が響くと同時に三人の男達は一気にビールを飲み干した
それが酔う為ではなく今は亡い親友を想っての一杯であった。
「二人共、忙しいのに悪いな……毎年集まってもらって」
「何言ってるんだ、俺達は死ぬまで親友なんだからさっ、気にするなよ」
空になったジョッキを出しながら暑苦しい事を言っている男
伊原公佑
二十歳の頃、とあるバンドメンバーの一人で爆発的な人気を背景に日本の音楽シーンを席巻した
だがバンドが解散すると人気は低迷し、日陰に下がった。
だがその後、ロックシンガーからは異例のバラードの歌い手としてカムバックし、不動の地位を獲得したのだった。
プライベートでも中学からの知り合いでもあり親友であった大崎美和と結婚
今は二人の子供を設けていた。
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