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「本当、無理しないでいいんだからさ……」
しんみりとした声でそう呟いた和樹だったがその口はすぐに差し出されたジョッキで塞がれた。
「今の和樹を見たら関口さんが悲しむぞ」
「命日って言っても悲しい顔をする日じゃない、そう言ったのはお前じゃないか、和樹」
公佑から差し出されたジョッキを受け取り、それを軽く傾ける
洋平からは落ち着いた声で淡々とそれでいて優しく諭された。
そして和樹もジョッキに写る自分の顔を少し見つめてから今度は豪快に中身を呑み流した。
「そうだな、これじゃ朋華が安心出来ないよなっ」
その言葉を切り口にし三人の空気は僅かに淀んだ物から一気に夏の青空のような澄み切った空気に変わった。
お互いの近況や、子育てについて面白おかしく語り、時には真面目な話しを切り出す
そういった三人の会話が広がった時
不意にテレビの方に向かい公佑が指を指した
そこには見覚えのある名前が画面を流れていた。
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