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「それにしても悠二君、プロになるなんてな」
「和樹も想像しなかっただろう、息子が日本代表になるなんて」
画面を見ながらジョッキを傾け感慨深げに話す二人
それは和樹だって同じであった
まさか身内からここまでの立派な人物が出るとは思ってもなかった
だが、それは嬉しさから来る戸惑いであった。
「でも、アイツが決めて歩んでいるならどんな道でも俺は嬉しいよ」
そう言いながら和樹は彼女の事を想い出していた
多分
朋華がこの姿を見たら涙を流して喜ぶだろうーー。
でも
朋華は見ているだろう
和樹は三年前に生死の境をさまよった時のあの体験で彼女が見守ってくれてると確信していた。
確かに
他人から見ればただのよまい言だと切り捨てられるかも知れない
でも
和樹は確かにその時に彼女を、朋華を見たのだった。
和樹にすれば会えなくなった朋華に会えた
ただ、その事だけでよかったのだったーー。
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