……彼方の君へ……

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「でも、俺達も年取ったな……」 不意に公佑の一言が夏の夜空に吸い込まれていく 公佑にしてみれば珍しい位に感慨深げな言葉 それが出てくる自体、大人になり年を取ったと言える。 「いつまでも子供じゃいられない、そうだろ和樹?」 「あぁ、いつまでも子供じゃいられないんだよ、俺はもうじきおじいちゃんだしな」 酔い醒ましに河川敷経由で二人を自宅に案内していた時 和樹の口からとてつもない爆弾発言があった 三人の間をヒュッと鈴やかな風が通り過ぎる それを合図に二人が和樹に詰め寄った。 「どういうことだ……?」 「おじいちゃん、悠二君か彩乃ちゃんが結婚するのかよ……?」 しっかりと掴まれた両肩 だが、和樹の方も逃げようとはせずに河川敷の雑草の上に腰を下ろした。 「彩乃が9月にするんだよ、それに12月にはおじいちゃんだと、驚いたよ」 「マジかよ……」 「てか彩乃ちゃんが結婚だなんて……俺達も老けるわけだよ」
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