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すっくと立ち上がって居間の窓際へと向かった
そこには黒い仰々しい箪笥のような物が置かれていた、そしてその中には一枚の写真が置かれていた。
そこには薄いピンクの上着にジーンズ姿で笑顔を向けて立っている女性が一人
そして、そこに名前が刻まれたプレートが……。
刻まれていた名前、それはまさかの事であった
『大蔵朋華』
そして、その写真に手を合わしている男
その男こそ、大蔵和樹、本人であった……。
「お父さん、早くしないとご飯が出来ちゃうよっ」
「悪い、じゃあ風呂をいただくよ」
線香に火を着けて供えて、和樹は立ち上がって、風呂へと足を向けた。
和樹がいなくなった仏壇、その中にほのかな香りが満ちて、煙りが写真を霞みに包んでいった……。
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