ドSそれともドMなメイド?

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鬼神は、箸を止める。 すると箸を置き、弁当箱を両手で掴み、俺に向けてきた。 「……食べるか?……卵焼き」 「ああ、うん。食べる」 鬼神の言葉に甘えて、弁当から卵焼きを箸で掴んで口に運んだ。 すると、口の中で卵焼きが雪のように溶ける感じがした。 美味しさのあまり涙が出るような感覚だ。 「……くぅうー、やっぱ鬼神の卵焼きは美味しいなぁ。確か、鬼神のメイドさんが作ってるんだっけ?」 「ああ、そうだ。卵焼きに問わず、あいつが作る料理ならなんでも美味しい。というか、本当にお前は卵焼きが好きなんだな」 「当然だろ!こんな美味しい物!まったく卵焼き以上に美味しい物なんかあるはずがないだろ」 俺はため息をつく。 卵焼きのおかげで、少し重かった空気が軽くなった。 ってか、皆。 卵焼きなんか誰が作っても変わらないと思っているだろ? それは断じて違う!! あの火加減!! 見た目を見極める目!! なんせ卵がよくても、それを作る人間がよくなくては、意味がないのだぁあ!! 「……ゼェ、ゼェ、疲れた」 「何一人で疲れてるんだ?なんだ心の中でエッチな妄想でもしてたか?」 「いや、心の中で熱弁してた。ってか、最後らへんの言葉自重」
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