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「……昨日は悲惨だったな、悠」
「……昨日は悲惨だったね、悠くん」
「…………」
桜と敬太が二人して同じことを言う。
二人の話から察するに、昨日のことであろう。
一昨日、姉貴に恋について語られたあと、ついでに告白の仕方を伝授してもらい、昨日好きな人に告白した。
心配になっていた俺達は、こっそりと後をつけいて、告白の場面に出くわした。
そして、相手の返事。
『ごめん。無理。私、生理的に筋肉ムキムキ野郎は、無理』
告白は、ただただシンプルだった。
好きです、付き合って下さいという言葉だ。
姉貴は、案外普通の告白の仕方を教えたのだ。
なんて切ない。
普通に断るにもなにも、筋肉ムキムキ野郎は生理的無理だぁ?
あの時俺は、咄嗟に怒りを隠せず、表に出ようとしたら、敬太がそれを止めた。
敬太を振り切ろうとしたが、敬太の顔はマジだった。
出ちゃダメだと。
今、俺が出れば女に説教できるが、引き換えに、武のプライドを傷つけてしまう。
そういったものだった。
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