『ケンくんと僕』

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 今、僕はその時と同じ状況に居る。ケンくんは僕を握りしめ、じっと見つめている。あれから一週間、ケンくんとサユリちゃんは毎日のようにメールをしていた。お互いの好きな物、兄弟の話など、色んな事を聞き合った。そしてさっきケンくんはこんなメールをサユリちゃんに送った。 『あさって学校が昼までだから、午後から遊ばない?』  ついにデートに誘ったのだ。そして今この状況だ。部屋にはサユリちゃんが好きだというBOAが流れている。ケンくんはBOAを聴かなかったけど、サユリちゃんが好きだと言ったので、すぐTSUTAYAから借りてきたのだった。借りてきたおとといから毎日のように聴いていた。『メリクリ』が流れている時、僕はその音に負けないように、『大好きだよ。』を歌った。サユリちゃんから返事のメールがきたのだ。ケンくんがすぐさま僕を開いた。その時、僕もドキドキしていた。 『いいよ。なにしようか?』  オーケーの返事をもらえた。ケンくんは「よっしゃー」と言いながら、僕を強く握った。「痛いよ。ケンくん」と思ったけど、僕も自分の事のように嬉しくてたまらなかった。
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