『ケンくんと僕』

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 三回目のデートでケンくんは勇気を出して告白した。 「好きです。付き合ってください。」  その日は映画を観て、公園で話していた。帰り間際、ケンくんは言ったのだ。周りはすっかり暗くなっていて、夏の闇がケンくんとサユリちゃんを包む。返事を待つケンくんのドキドキは最高潮だったけど、僕も返事を聞く恐怖心に襲われていた。 「いいよ。」  サユリちゃんはそう言うと、いつものように笑ってくれた。ケンくんの顔が自然にほころぶ。 「よっしゃー!」  僕は心の中でガッツポーズしていた。 「ケンくんおめでとう。」  ほんとに自分の事のように嬉しかった。 「サユリちゃんってチュウした事ある?」  ケンくんは僕が思いもしなかった事を言った。 「ケンくん、それはいくらなんでも大胆すぎないか?」  僕はそう思ったけど、今は嬉しさで感覚が麻痺していた。 「ないよ・・・」  サユリちゃんは下を向きながら、恥ずかしそうにそう答えた。 「してもいい?」  今日のケンくんはいつもと違い、アグレッシブだった。 「ケンくん、でもキスする前、確認取るもんなの?それはどうなの?」  僕がそんな指摘をいれたくなったけど、今の二人には型など通用しない。 「うん。」  サユリちゃんがそう言うと、ケンくんはサユリちゃんの肩を両手で持って、唇を合わせた。早めの夏花火が上がった。そして二人は恋に落ちた。なんだかかっこいい感じになったけど、この時、ケンくんのズボンが隆起していたのは、僕だけの秘密である。
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