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「だめ、じん」
頭を滑り落ちた手が、弱い力でTシャツを引っ張る。
「気持ちくないの?」
眉を下げて、心配そう聞いてみれば
「そうじゃ…なぃ、けど」
空中をさ迷った瞳がふと下に向けられて
「らんが、見てる…」
呼ばれた犬はふわふわとしっぽを振って。
見つめるおれに何がを期待するように、ソファの椅子に前足を掛ける。
「ら~ん?」
咎めるような甘やかすような声で、かめがその頭を撫でた。
返すようにペロペロその顔を舐める蘭。
くすぐったそうに笑うかめ。
ちょっとした悪戯心。
かめの自身にそっと指を忍ばせて、え?と見開いた瞳に挑戦的な笑みを向けた。
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