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そんな仕草に想わず口元がほころぶ。
噛んでるものが違ったら素直に「可愛いなー」とか言えたのに。
言っていいのか?
でもかめが「痛そう」って…。
どんな顔で見てるのか気になって、ふと横を向いた。
瞬間、まっすぐに見つめてくる瞳と目が合って。
「…ねぇ?」
吐息みたいなかめの声がふわっと耳を犯す。
いきなりのそれにどきんと心臓が跳ねて。
艶やかな光りを湛えた切れ長の瞳が、伏せられるのを少し願った。
「それって、さ」
薄いくちびるが誘うように開く。
「おいしい、の?」
一瞬流すような目付き。
渇いたくちびるを、赤い舌が這う。
ごくん、と自分の喉が鳴る音が聞こえた。
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