第一章

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あれから、段ボールに服とか詰めていたらいつの間にか入寮前日に。 今日は病院に一ヶ月分の薬をもらいに来た。何回来てもこの白い空間だけは慣れない。 「具合はどうだい」 「最近は大きな発作もないから結構楽だよ」 「そうか。」 この人は僕の担当医で、福島さん。下の名前は知らない。 「凌くん、本当に行くのかい?」 「うん」 「そうか……止めても無理なんだろ」 「まぁね」 「…………………」 急に福島さんの顔が強張った。 「凌くん、驚かないで聞いてくれ」 「う、うん?」 「次、大きな発作が起きたら………助からないかもしれない」 「………そっか」 その言葉に驚くことはなかった。 ただ、急いで境に会いたいと思った。
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