The beginning

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「おまたせー」 両手に俺とエリスの注文した品を持って静音さんが戻ってきた。 「これが麻婆豆腐で、これがチャーハンね」 目の前に置かれたのは麻婆豆腐にしては赤過ぎる物体。 「……、なんか赤過ぎないかこれ?」 「桐生くん辛いほうが好きかなーって」 きゃはっ、とかいいそうなイイ笑顔の静音さん。 かなーってなんだ、かなーって。 エリスは、おいしいのだろう、無心にチャーハンをパクパクと食べている。 一口、口の中に入れてみる。 辛いっ――――!? 「えぇ!?お水お水!!」 どうやら口に出してしまったようだ、……そんなことはどうでもいい。 辛い、とにかく辛い。 麻婆豆腐の形をした兵器とでも言っておこうか、口が痛い。 「桐生くんお水!!」 静音さんが持ってきてくれたコップに入った水を一気に飲みほす。 「――お金は払うんで普通の持ってきて下さい普通の」  
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