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「と、いう訳で逮捕させてもらう」
なにがという訳なのか全く分からないが、徐々にこちらににじり寄ってくる熊谷女史。
「ほら、おとなしくしろ手間をかけさせるなよ――」
彼女が手をのばした瞬間、一陣の風が吹いた。
ただの風ではない。
魔力、いや、狂気を孕んだ風とでも言おうか。
「――なんだ?」
「ちなみに聞いておくけど、なんでこんな所に警察の方が?」
「……、殺人事件が頻発しているからな、所轄の仕事のはずだが手が足りないらしく私まで見回りに――」
長くなりそうなので手でその先を制す。
「じゃあ、多分アレが当たりじゃないか?」
そう言って結人が指指したのは桐生結人の後部、熊谷智美の前方の壁、数メートル上方。
「あそこがなんだって――――」
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