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周りの闇と同化し、目を凝らさなければ見えないほどの曖昧さ。
ビルの薄暗い側面を見上げた先にそれはいた。
まがまがしいオーラを纏ってそこにいた。
「なんだあれは……」
と、熊谷女史。
「まぁ、とりあえず味方ではなさそうだな」
アレの視線には親愛といった類のものはまったく含まれていない。
断言できる。多分。
アレとこちらとの距離は目測20M、行動を起こされればあっという間に詰められる距離だ。
「チッ……!!」
そんなことを思考している内にアレは行動を起こした。
取り付いていたビルの上から弾けたソレは慣性の法則に従い一気に飛び掛かろうとする。
「どいてろ!!ニートA!!」
あらかじめ構えてあった銃を発砲。
先程俺にした威嚇でもなんでもなく純粋な力の行使。
爆竹を鳴らしたような小気味のいい発砲音と同時に、金属を打ち付けるような音が響く。
拳銃はさほどの効果を発揮しなかったようで、ソレの落下を止めることは出来ないようであった。
そして、不幸なことにその落下点にちょうど熊谷女史が位置している。
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