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「――ッ!!」
ソレが熊谷女史の上に落ちる寸前、結人はタックルをかます。
目の前の人間を助けようと無意識に体が動いてしまった。
結果、熊谷女史が落下ポイントから外れた代わり、結人が真下に立たされることなってしまう。
あぁ、クソッタレ。
厄介事はゴメンだってのにな。
「この、クソッタレがァッ!!」
ズドン、と腹の底を揺さぶられるような衝撃と共に、ほぼ無意識に魔防壁を展開。
魔防壁などというが、慣性の法則による落下質量を、純粋に結人が持つ魔力を上方に放出して押し返しているだけである。
魔防壁はバチンという音と、青白い発光をし襲撃者を弾いた。
ソレは弾かれた衝撃を上手く利用し、結人との間合いをとるようだ。
「――――――」
ソレは、嗤っていた。
なにも言語を発さず、不気味と形容するのが適切であろう表情。
そして、そのまま後ろに下がると、ソレは闇に溶けていった。
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