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俺は、気付けばこの世界に足を踏み入れてた。
いつからだろう…。
対局相手の顔を見る。
恐怖で顔が歪み、脂汗をかき、涙が溢れている。
当然だ。
この対局には彼の人生とも言える全財産が懸かっているんだから。
彼の妻は、隣で必死に応援している。どうやら将棋をあまり知らないらしい。
『ごめんなさい…やらなきゃ殺られる』
俺は心でそう呟き、盤上から一つの駒をとった。
その瞬間、馬が天を駆けて、彼の玉将をくいちぎった。
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