はじまり

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 俺は両親とは生き別れ、捨て子だったらしい。 おっちゃんがそう教えてくれた。 おっちゃんは、捨て子だった俺を律儀に育ててくれた。 だから、小さい頃から、俺はおっちゃんの背中を見て育った。 時折、プレゼントやお小遣いをくれたり、優しく、厳しく。 俺は、おっちゃんが大好きだった。遊園地や、動物園とか、子供らしい所は行ったことがなかった。 その代わり、時々おっちゃんはとても賑やかな所へ連れていってくれた。 そこでは、皆が将棋を指していた。 泣き叫ぶ人や、大声で笑う人、涙を流して喜ぶ人とか、変わった人がいっぱいだな。 皆将棋が好きなんだねと思った。 おっちゃんの対局相手は何故かみんな泣いていた。
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