竜王会

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頁の見出しにはでっかくこう書いてある。 『渡瀬明夫竜王、6連覇達成』 『時代を背負った若き竜王』 そして、載せてある写真にははにかみ笑いを浮かべる渡瀬の顔が。 若く、そして整形の為か今とは違うが、確かに渡瀬の面影があった。 短髪の、丸い眼鏡をかけた、細い目、やや広いおでこの聡明そうな青年。 若かりし頃の渡瀬か。 それより、棋譜だ。 すぐさま棋譜に目をやる。 ▲竜王 渡瀬明夫 △九段 森永俊彦 ▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲7八金△8八角成▲同銀△4二銀▲3八銀△6二銀▲4六歩△6四歩▲4七銀△6三銀▲6八玉△4一玉▲1六△1四歩▲7七銀△5二金▲5八金△9四歩▲9六歩… …まで、93手で渡瀬竜王の勝ち 長いので省略するが、実に見事な棋譜。 全く隙がなく、流れるような寄せ。 十数年前とはいえ、これが渡瀬の力か。 その前年の将棋社会では、万名人を相手に、三連敗後四連勝で竜王を防衛していた。
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