343人が本棚に入れています
本棚に追加
頁の見出しにはでっかくこう書いてある。
『渡瀬明夫竜王、6連覇達成』
『時代を背負った若き竜王』
そして、載せてある写真にははにかみ笑いを浮かべる渡瀬の顔が。
若く、そして整形の為か今とは違うが、確かに渡瀬の面影があった。
短髪の、丸い眼鏡をかけた、細い目、やや広いおでこの聡明そうな青年。
若かりし頃の渡瀬か。
それより、棋譜だ。
すぐさま棋譜に目をやる。
▲竜王 渡瀬明夫
△九段 森永俊彦
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲7八金△8八角成▲同銀△4二銀▲3八銀△6二銀▲4六歩△6四歩▲4七銀△6三銀▲6八玉△4一玉▲1六△1四歩▲7七銀△5二金▲5八金△9四歩▲9六歩…
…まで、93手で渡瀬竜王の勝ち
長いので省略するが、実に見事な棋譜。
全く隙がなく、流れるような寄せ。
十数年前とはいえ、これが渡瀬の力か。
その前年の将棋社会では、万名人を相手に、三連敗後四連勝で竜王を防衛していた。
最初のコメントを投稿しよう!