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俺が11歳になった時、事件が起こった。
いつものように、おっちゃんが将棋をしているのを見ていると、ヤクザ風の人達がおっちゃんに絡んできた。
「お前が田坂半吉か?」
「誰や、おまえら。」
「わしらはええんじゃ!お前よぅ荒らしてくれとるらしいのぉ」
「………。」
おっちゃんは黙っている。するともう1人の男がしゃべった。
「半吉て、おみくじみたいな名前やのぅ。人のシマあらしやがって」
「名前は関係ないやろ、用件はなんや」
「わしらと勝負してほしんや、わしらが勝ったら、ちょっとかわいがらせてもらう。」
「で、わしが勝ったら?」
「1000万やる。それと、お前が好きなだけ稼いだらええ、悪くないやろ?呑まんかったら事務所まで来て痛い目みてもらわんとあかんけどな。」
おっちゃんが素人に負けるとは思えなかった。
バカだな…と思いつつ成り行きをみていた。
「わかった、じゃあ座れや」
「おっと、勝負するのはわしらやない。渡瀬センセー!!」
すると、奥から黒い眼鏡をかけた青年が入ってきた。
賢そうで、自信に溢れ、凛としていた。
(こいつ…強い。)
一目みて思った。
おっちゃんもそう思ったらしく、目付きが変わっていた。
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