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渡瀬という青年は静かに対局席に座り、おもむろに口を開いた。
「田坂さん…。競馬好きですか?」
…………。
「好きやけどなんや?」
「じゃあ、メジャーリーグは?」
……………。
よくわからんやつや…。
「レッドソックスファンや!なめてんのか!」
「ふふ…気が合いそうだ…でも、僕はあなたを半殺しにしなければならない…」
「意味わからんやつやな!それに半殺しになるのはお前や!」
そのやりとりを制止するように、先ほどのヤクザが口を開く。
「持ち時間は二時間!時間が切れた時点で終了や!ええな!田坂、餞や、振り駒させたる。」
振り駒とは、先後を決める行為。五枚の歩を振り、表が多ければ振った者が先手、と が多ければ後手となる。
「あら、ありがとさん」
おっちゃんは駒を振った。
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