第二章‐戦いの幕開け‐

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「――なに、降伏の使者だと?信幸から?」 それから数日後、ぴりぴりとした空気が漂っていた信州上田城には、真田信幸からの(といっても実質は秀忠からの物である)降伏の使者が面会を申し出ていた。 昌幸は使者から書状を受け取ると、にこやかな柔らかい表情で言った。 「――おお、ご使者殿。ご苦労様でございます。秀忠殿からの要求通り、我ら真田家は軍門に降りますゆえ、よろしくお伝え下され。 ひいては、軍備のために城内が散らかっていますゆえ、二日間猶予を下され。天下の徳川家に入って頂くには、それなりの準備が必要ゆえ……。」 それを聞いた使者は、あたかも自分の手柄を手に入れたと意気揚々と秀忠の元に引き返していった。その報を聞いた秀忠も、声を高らかに大笑いしていたのだった。 「よし、これで二日稼げる。今の内に防備を固めよ。」 そう。これは昌幸の策略であり、実際はなるべく秀忠の進軍を止めるための策略であったのだが、秀忠はまったく気付かず、一人ぬか喜びしていた。
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