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「出陣でございます!出陣でございます!」
小姓が叫びながら走って触れ回る。昌幸はしっかりと甲冑を身に着けていた。
秀忠出発から5、6時間は経過しているだろうか。だが大軍ゆえ、兵の進軍は遅くなっていた。
小姓の言葉に、すっかり勝利に酔い痴れていた真田家の兵達は慌てて戦準備をする。
多少の疲労は残っているものの、やはり完勝したために兵の士気は高かった。
それからおよそ1時間程で兵の準備、整列が完了した。
城に籠っていた兵のほとんどが出陣するため、城にはごく僅か、100程の兵しか残されていない。昌幸がいかにこの戦に賭けているかが窺えた。
「殿、戦仕度、完了してございます!出陣のご下知を!」
「うむ!これより我が軍は大垣へ和田峠を通って向かう。
秀忠の軍よりも先に大垣にたどり着き、家康の本陣を強襲するのじゃ!」
昌幸が叫ぶと兵達は一瞬静まったが、昌幸の意図に気付き、一気に士気が高まった。
凄まじいときの声が辺りを切り裂き、異様な雰囲気で包み込む。
――戦国きっての謀将真田昌幸の天下簒奪の快進撃が始まる。
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