第二章‐戦いの幕開け‐

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それから二日後には素早い進軍で真田軍は美濃と信濃の国境付近へたどり着いた。 辺りは薄い霧が立ち込め、まさに決戦に相応しい光景といった所であろうか。 「申し上げます!東より接近する部隊がございます! 旗印は……、六文銭!!」 六文銭の旗印というのは、代々真田家が戦に於いて使用してきた旗印である。六文銭は三途の川を渡る際の船賃とされ、いつでも死の覚悟がある事を表している。 昌幸の隣りに馬を並べる信繁は、口を開けて仰天していたが、昌幸は不敵な笑みをうっすらと浮かべていた。 「こ、これは……? 敵の策か?気付かれていたのか。」 「信幸じゃ。」 信繁は再び驚いた。 まさかここで兄の名が出て来るとは思わなかったからである。ここで信幸の軍勢に自分たちを攻撃されるはずが無いと思っているからである。 「はよう、信幸を連れて参れ。」 昌幸が笑いながら言う。 忍びも少々焦り気味である。
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