第二章‐戦いの幕開け‐

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それからしばらくして、昌幸の元に本当に来たのだ。 真田家から独立した真田信幸が、しかも護衛の兵も無しで単独で。 「あ、兄上!今頃いかがなされた!」 信繁はいきり立って信幸に叫ぶ。昌幸の前に馬を寄せた信幸は信繁の方をじろりと睨み付け、それから再び昌幸に視線を合わせる。 信繁はまた何か言おうとしたが、昌幸がそれを手で制した。 「おう、信幸。大儀であった。」 「ははっ。」 「それで。秀忠の軍勢はどこにおる?」 信繁はいまだ理解できず、昌幸の顔と信幸の顔を交互に見ていた。 「今ごろ、信濃で橋が“偶然”にも壊れていて進軍が遅れておりましょうな。」 「はははっ!偶然か! よいよい。大儀である!兵も伏せておいたのか?」 「もちろんでございます。」 これは一体どういう事であろうか。 実は、あの信幸が独立する以前から徳川と石田三成の激突は必至と考えていた昌幸は、信幸に一つの策を授けていた。
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