第二章‐戦いの幕開け‐

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「信繁、おぬしは軍勢を引き連れて上田に戻るのじゃ。わしは今から佐和山に向かうからの。」 「は、はぁ……。ですが父上、この近くには落ち武者狩りもいることですし、多少の近習をお連れ下され。」 「分かっておるわ。わしと信幸と五十でよい。それ以外はおぬしが上田に連れて帰るのじゃ。よいな。」 戦には大勝し、自らも凄まじい戦功を挙げたというのに、どこか不機嫌そうな、どこか腹立たしそうな浮かない表情をした昌幸は、ぶっきらぼうな表情をしながら言う。 自分に不手際があったのではと、信繁も苦悩に満ちた表情をしていた。  
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