文化祭―アイドルと彼女

2/34
前へ
/258ページ
次へ
入学式から約一ヶ月が経ち、俺もみんなもクラスに打ち解けてきた。 五月、五月病と名前になるくらいに気分がだるくなる季節。 こんな時は机に伏せて寝るのが一番だ。 いつでも寝てるんだけどな。 寝ているとクラスの会話がよく聞こえる。 まだこの季節は中学の話が多い。 気が早いやつは六月の文化祭について話している。 「優樹くん、文化祭では何がしたい?」 この声は早坂か。 顔を上げると案の定早坂で、あなたも文化祭の話ですか。 まぁ文化祭は楽しくした方がいいよな。 「売店? それとも出し物?」 「まだ細かいことは決まってないよ。一ヶ月も先のことなんだよ?」 「そうだったな。売店のほうがいいかな。色々揚げてみるとか楽しそうだし」 本当は売店のほうが大変じゃなさそうってのが理由なんだけど、楽しそうに話す早坂を見ているとそんなことは言えない。 それにしても、早坂はいつでも注目の的だよな。 一ヶ月経った今でも違うクラスの人が見に来る。 俺なんかと話してていいのか? なんて思ったりする。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1368人が本棚に入れています
本棚に追加