文化祭―アイドルと彼女

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「それいいかも。今度みんなに言ってみよ」 考えなしに言ったのに早坂は賛成してくれたらしい。 文化祭か……。 誰と回ろうかな? 「ねぇ優樹、文化祭一緒に回らない?」 早坂を退けるように早紀が会話に入ってきた。 俺の考えていたことと同じことで少し驚いた。 「あぁ、俺で良いなら。早坂は誰と回るんだ?」 学校のアイドル的な存在の早坂が誰と回るのか、クラス中全員が静かになって聞き耳をたてる。 集中しすぎじゃね? そんな沈黙の空間が長く続く。 早坂は何故かあたふたしている。 「私……斉藤くんと回ろうと思ったんだけど……。先こされたみたい」 は? と言ったのは俺だけ。 注意して聞いていた人達も、なんだ、と言うとまた自分達の会話に戻った。 何と言うか……寂しい……。 「俺? やめときなよ。俺なんかと回ったら早坂、何言われるかわかんないぞ?」 なんであんなやつなの? 的な、早坂を持ち上げ俺を侮辱するパターンだ。 自分で言ってて寂しいけど、その通りだと思う。
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