chapter.Ⅷ

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ネロは黙ったままでフォーナを見つめる。 ただ俯いたまま絶望の支配下にある彼女の姿は、幼い頃の自分と重なった。 だがネロの側にはいつもキリエとクレドが居て、冷たい雨で麻痺した感覚と今にも粉々に砕け散りそうだった心(精神)を救ってくれたのだ。 いたたまれない気持ちのままそっとフォーナに近づき、その肩に触れようと手を伸ばすとフォーナは再び猫の姿に戻った。 ネロは優しくフォーナを抱き上げる。 腕の中で震える小さな体は絶望の淵から抜け出せずにいるのだろうか? 『…これは夢よ』 突然フォーナが語りかけてきた。
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