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その頃ネロは…
(俺…また夢を見てるのか?)
朦朧とする意識、瞳を明けると眩しい光が淡いブルーの瞳に降り注いだ。
頬を撫でる潮風、目を細めるネロの視界が捕らえたのはゴルゴダの丘だった。
(…帰って…来たわけじゃないよな)
花で溢れとても美しい丘、洋館の前に広がる白詰草の花畑で誰かが花を摘んでいる。
(キリエ?)
ネロは花を摘む誰かに近付こうと足を進める。花畑にいたのはキリエではなかった。
(トリッシュ…)
ネロが傍まで行くと、その女性はネロの影に気付き振り返った。優しそうに微笑み、白詰草で作った冠をネロの頭に乗せる女性。
ネロが何か言おうとした瞬間、突如強い潮風が吹き抜けた。
ザァァァーー!!
風に煽られ白詰草の冠が飛ばされ、と同時に周りの景色も女性も薄れ、光となり舞い散って行く。
「エヴァっ!!」
右手を伸ばし思わず叫んだ名は
初めて口にする名だった。
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