chapter.Ⅲ

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フォーナの口元を見つめながらネロは過去を思い出していた。 「過去ならもう葬った…未来は、見たくない…」 「今だけを生きてるのね」 「皆そうだろ?」 フォーナの質問の意図が分からず、不思議そうに金色の瞳を見つめ返す。 「死に囚われている者達ならね…だけど貴方や契約者は違うわ。普通の人間と同じ様には死なない」 その言葉はネロにとって呪文のように頭の奥に響いた。 「俺はこの力に目覚めてから間もないし、それまでは普通の人間として生きて来たんだ」 冷たい右腕を摩りながら呟くネロ。 「そうかしら…貴方が普通に暮らしてたとは到底思えないわ。あの"時の皇帝"の血を引き、そして"魔界最強の剣士"の末裔でもある。貴方のお母様は特異でもなんでもなかった…貴方のお母様が懐胎したのは…」 「もういい!もう、止めてくれ」
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