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「おしまい」
ルドルフは背表紙を閉じて本をネロに渡した。
「ねぇ、どうしてルドルフは最後に"おしまい"って言うの?お母様は"めでたしめでたし"って言うよ」
透き通る瞳に捕らえられ、ルドルフは困った顔でネロの頭を撫でた。
「坊ちゃんも、大人になれば分かりますよ。読み手、聞き手によって物語は変化するものなんです」
「??」
小首を傾げるネロ。
「さぁ、夕飯の準備もありますし私は屋敷に戻りますね」
「うん、ありがとう」
ルドルフが去った後もネロは独り本を読み返していた。読むと言っても知らない単語があり、挿絵を見ているだけなのだが、話の内容は頭の中に入っているからそれで満足だった。
「かっこいいなぁ~」
魔王と剣を交える騎士の絵を見て呟く。
その騎士は銀色の鬣を靡かせ、真っ赤で巨大な剣を振りかざしている。交えた剣からは稲妻が放たれていた。
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