chapter...forget-me-not

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屋敷の中がやけに静かで、まるで知らない場所に居るようだった。 「皆どこに行ったんだろ…」 「ネロ!」 玄関の扉から母が駆け寄って来る。 明らかに動揺していてネロを呼ぶ声が震えていた。 「ねぇお母様、どうして誰もいないの?」 「ネロ、急用なの、貴方も一緒に来て」 「何処に?」 母はネロの手を引きながら表で待たせてある馬車に急く。 二人が馬車に乗り込むと慌ただしく走りだした。カーテンが閉めてあり外の景色が確認できない。 母はネロの隣に座り、ネロを抱きしめながら震えていた。 「お母様?具合が悪いの?」 「ネロ…大丈夫、大丈夫よ。何も怖くないわ」
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