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馬車に揺られ続け、家から大分離れた場所まで来ているだろう事が分かる。
突如馬車が停まり、外から男の話声が聞こえる。
母はネロを見つめて、何か言おうとしたが言葉より先に涙が溢れ出した。
「お母様!何処か痛いの?!」
「違うの…っ…ネロ、ネロ…よく聞いて。お母様はこれから行かなければいけない所があって貴方を連れては行けないの…だから…」
「おい!!早くしねぇか」
馬車の扉が開き、見た事もない大柄な男がネロの腕を無理矢理引っ張り馬車から引きずり出した。
「痛いよっ!放してっ」
男はネロを担ぎ上げると、直ぐ傍にあった荷馬車の荷台にネロをほうり込んだ。
「嫌だ!下ろしてっ」
ドサッ!!
「馬鹿野郎、そいつは奴隷じゃなく団長に引き渡すんだぞ!怪我させたら俺達が危ねぇ目に合うだろうがっ」
もう一人、小柄な男が現れ大柄な男を怒鳴っている。ネロは状況が理解できず、荷台から降りようとしたが母に止められてしまった。
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