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「駄目よ、ネロ!その人達と一緒に行くの」
「嫌だよお母様!僕もお母様と一緒に行く!連れてって…お願い…お願い…」
ネロは母に手を伸ばした。涙で母の顔がよく見えない。
「愛してるわネロ、誰よりも……許してね…無力な私を、こんな方法でしか貴方を守れなくて…っ」
伸ばした手は母に届かず、荷馬車が走り出した。
「やだ…やだよっ…お母様っ!お母様ぁ゙ぁぁー!!」
段々と小さくなって行く母。
とめどなく溢れる涙、ガタガタと揺れる荷馬車。
幼いネロにはどうすればいいのか何も分からなかった。
家に戻る方法も
独りで生きる方法も
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