chapter.Ⅳ

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ダンテとは長い付き合いのレディも、テメンニグルで知り合う前の事はよく知らない。 悪魔の血をひいているのだから、人並の生活は送れていなかっただろう。 出逢った頃のダンテは方向性の定まらない無茶な性格だった。レディを"lady"と名を付けたのもダンテである。 あの出逢いは偶然か、はたまた必然か。 『私達も随分長い付き合いよね。昔が懐かしいわ』 『そうだな…』 何か思い詰めたように上の空のダンテ。 昔に思いを馳せれば今は亡き肉親の顔が脳裏を過ぎる。それはダンテもレディも同じだった。 『私達は正しかったかしら…』 『どうだろうな…、何が正しい選択かなんて倫理の中での価値観に過ぎないさ』 あの頃のダンテを変えたのは他ならぬ唯一の兄バージルであり、彼が今でもダンテの心に生き続けている事をレディは知っている。
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