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『放っておくと直ぐにいなくなるんだから、首輪と鎖でも付けておくべきだったかしら。
それにしても入口も鏡らしい物も見当たらないなんて…』
愚痴をこぼしながら裏側を探るレディは、周りの異様な光景に眉をしかめた。
(…変な場所だわ、砂漠のど真ん中だって言うのに植物がこんなに繁殖してるなんて)
そこは、さっきまでの乾いた空気とは全く異なる不気味な湿気が漂っている。
少し進むとその湿気の原因があった。
『沼?』
『ダンテッ』
濁った水には藻が浮かびプクプクと沼から気泡が沸き上がっている。
そしてその沼の真ん中程にダンテの姿があった。
『急にいなくなったと思ったら水浴びでもしてたの?』
『そうだと言いたいところだが、生憎とこいつらが放してくれなくてね』
レディは目を凝らしてダンテの足元を見た。何やら泥に塗れた蛇のようなものがうごめいている。
『仕方ないわね、今回は貸しにしておいてあげる』
そう言って背負っていたカリーナ・アンを構えた。
ガチャ…
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