chapter.Ⅳ

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『本来なら不可能だが、此処には最大級の龍穴がある。しかもアセンダントの奴らが信仰してたのは只の太陽神じゃない…』 ダンテの言った事が理解できずレディは眉間にシワを寄せた。 『どういう意味?』 『此処の奴らが崇めてたのは黒い太陽、有史以前にこの地を支配していた千年王という人物だ』 『千年王…歴史上は葬り去れてるわよね』 『あぁ、文明と共に滅びし王。今となっては当時を知る者が無く、本当に存在したのかさえ定かじゃない』 『此処の人々が太陽神を崇めてたのは知ってたけど…その太陽が真っ黒だったなんて笑えない冗談だわ。歴史上、最も偉大とされ現在の宗教の基礎ともなっている輝かしいはずの神は闇の使者だったていう訳?』 『そりゃ~いくら祈ったところで神は何もしてくれないが、悪魔は代償さえ払えばだいたいの願いを叶えてくれるからな…人間にとっての悪魔、悪魔にとっての人間、お互い隘路として利用してきたんだろ。輝かしい歴史は表の顔で、蓋を開けてみれば中身は真っ黒だったなんてよくある話さ』 更にダンテは続けた。 『…光射せば必ず陰が生まれる… 陰から逃れたくて光射す場所を求めても、その場所には新たなる陰がある』
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