chapter.Ⅴ

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ネロは呆然と立ち尽くす。 そこは夢の中だという事をすっかり忘れてしまう程、様々な感情がネロを支配する。 『大丈夫?ネロ…これは夢よ』 『あ、あぁ…』 強く右手を握りしめ自分に言い聞かせる。 大丈夫だと …何に対して? 凄い速さで脈打つ鼓動。 荒野で夢を見た後の感じと似ている。不安が心臓を締め付け息苦しささえ覚える。 どこからともなく吹く風にふわりとそよぐカーテン。身の丈以上の大きな鏡。終わる事なく続く回廊。 そう、ネロは無限回廊に立っていたのだ。
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