chapter.Ⅵ

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意を決して歩き出すと、ダンテが鏡に向かって呟いた。 「返してくれ…」 鏡に映っているのがバージルだとすると、ダンテの言葉が引っ掛かる。居なくなった人物に対して"返してくれ"はおかしい。 普通なら"帰ってこい"が妥当だ。 だが、バージルの存在が誰かによって奪われたものだとしたら… それは、自分かもしれない まるで自分の大切な宝物を奪われた子供が、怒りを表にしているかのような言葉。 独占欲を隠す事なく堂々と、それは自分のものだと主張する言葉。 ダンテはどんな思いでこんな夢を見ているのだろう…
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