chapter.Ⅵ

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すぐ側まで近付くと、窓から射す明かりでダンテの表情がよく見える。 もう既に視界の隅に入っている真実の鏡。その中に映し出されている人物を確かめようとしたネロだが、横に動かそうとしていた顔が止まる。 ダンテと目が合ったからだ。 『?!…俺達が見えてるのか?』 フォーナに視線を向けるネロ。 『いいえ、彼が見ているのは…』 言葉を濁したフォーナの気持ちを察したのかネロは慌てて振り向いた。 ダンテが見ていたのはネロの後ろに立っている男だったのだ。 瞳が月明かりに慣れてしまったせいか、薄暗い回廊に立つ男の顔がよく見えない。 オールバックの髪、暗闇の中で妖しく輝くモノクル… ネロの知らない男は微笑んでいた。
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