chapter.Ⅶ

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サンクトゥスとの一戦の時同様、相変わらず非力な自分に落胆し、苛立つネロ。 その耳にダンテの声が届いた。 『目覚めたばかりの一瞬の内 この地球に生を承た瞬間 既に俺の隣に在ったもの 同じ顔同じ身体 同じ瞳 だが、降り注いだのは違うkarma…』 思わず顔を上げる。 ネロにはダンテの後ろ姿しか見えず表情は確認できない。 もうすぐそこまで迫った世界の終わりは切ない痛みに満ちている。心から憎んだ神にさえ救いを求めてしまいそうな気分だった。あの扉が開く時、俺は消えるのか… 人間死ぬ間際になると走馬灯のように記憶が蘇るって言うが。 ネロは何も思い起こす様子がない自分自身を冷静に見つめていた。脳裏を過ぎるのはキリエの事ばかり…二度と手放さないよう守り抜くと誓ったのに… ダンテも同じ気持ちだったんだろうか?
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