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その日私はかなりの量のお酒を飲んでいた。 静香を介抱するどころか自分の足元すら怪しい状態…。 それでもそれを気付かれないように必死だった。 ふらつく足を意識しながらトイレに立ち、ついでに静香のウーロン茶と、自分用の軽いお酒を頼もうとした時…カウンターに居た彼と出会った。 彼は、注文をする間じっと私の顔を見た。あまりに見つめられるものだから、顔に何か付いてるのかと思うくらいに。 「えっと…?」 「あ、ウーロンとレモンソーダね?」 「レモン…?」 「もう、飲まない方が良いよ。結構きてるでしょ?お酒に見える様に作ってあげるから」 それが初めて交わした言葉だった。
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